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AW Alert India 6:インド・コロナ最新動向(2020/4/14時点)

2020年4月14日

(文責:佐藤賢紀・渡邊満久/AsiaWise法律事務所所属、インド駐在中)

 インドにおける新型コロナウィルス(COVID-19)への対応に関して、4月14日(火)時点の情報をお届けします。

 AsiaWise Groupでは、今後も継続的に、メールマガジン形式で、随時、最新の情報をお届けする予定です。ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡下さい。配信をご希望の場合は、サイトの登録フォームからご登録下さい。

1. ロックダウンの期間の延長等について

 本日、モディ首相の演説があり、当初4月14日までとされていたロックダウン期間が5月3日まで延長されることが発表されました。特に、4月20日までの間は厳格な封鎖措置が行われるとのことですが、その後、ホットスポット(感染者が確認された地区)の増加が見られない地域や州については、条件付きで一部緩和される可能性があるとのことです。新たなロックダウンのガイドラインについては、4月15日に発表されるとのことです。

 なお、各州においては、既に、感染者が報告されている複数の地域が指定され(Containment Zone)、当該地域について厳格な封鎖措置が実行されています。すなわち、当該地域内に対しては、住人に対する個別の検査実施、全域の消毒措置、幹線道路における検問、バリケードによる封鎖等が行われ、地域住民にもより厳格な外出制限が課されています。違反者に対しては、災害管理法(Disaster Management Act, 2005)等、各種法令による罰則が課されることとなっており、警察等による厳しい取締りがなされています。

2. 従業員の減給及び解雇の禁止等について

(1) 前号のAW Alert India 5にて既報のとおり、インド政府は、3月29日付で、使用者に対し、ロックダウン期間中について、労働者の賃金減額を禁止し、通常通りの支給日に賃金を支払うことを義務付ける命令を発令しています。この命令は、災害管理法に基づき発令されており、法的拘束力を有するとされていることから、これに反して労働者の賃金を減額することは違法です。

 3月29日付の命令では、解雇については、明確には言及されていませんでした。もっとも、当該命令は、労働者に対して賃金を支払うことを命じており、労働者を雇用し続けることを当然の前提としていること、労働者の雇用を維持し続けることで、その生活を保護することがその趣旨であることからすると、少なくとも4月14日までのロックダウン期間中に会社が労働者を解雇することは、命令に反し違法である可能性が高いと考えられます。

 前述の通り、今回ロックダウンの期間が延長されましたが、3月29日付の命令が、4月15日以降も有効とされるかについては、今後の命令・通達等を、慎重に検討する必要があります。

 一方で、会社と労働者との合意に基づく退職・減給・特別休暇の取得については、適法となる余地があります。もっとも、労働者の真の自由意思に基づいていることが必要であり、慎重な対応が必要となるため、各社ごとにご相談頂くことを強くお勧め致します。

(2) また、駐在員用の車両サービスや清掃サービス等、現在、サービス提供を受けられていないサービス提供事業者との契約についても、維持しておくべきかを検討されている企業も多いと聞きます。サービス提供事業者との契約書には、サービス提供を受けられない期間の支払いを停止する条項や、例えば一月分の代金を支払うことによって、特段の理由なく契約を解除できるとする条項等が含まれているものなどもございます。今後、サービス提供を再び受けられるようになる時期が不明である場合には、当該契約の条項次第では、一旦契約を解除しておく等の対応が可能です。

3. インド国内における新型コロナウィルスの症例数

 インド国内で確認されている新型コロナウィルスの症例数は、4月14日IST 8:00時点で、10,363例(死亡例339)と報告されています(https://www.mohfw.gov.in/)。