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AW Alert India 3: インド・コロナ最新動向 (2020/3/23時点)

2020年3月23日

(文責:佐藤賢紀・渡邊満久/AsiaWise法律事務所所属、インド駐在中)

 先週に引き続き、新型コロナウィルス(COVID-19)のインドにおける影響について、3月23日(月)時点の情報をお届けします。

 AsiaWise Groupでは、今後も継続的に、メールマガジン形式で、随時、最新の情報をお届けする予定です。ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡下さい。配信をご希望の場合は、サイトの登録フォームからご登録下さい。

1. 各州政府による都市封鎖(Lock down) について

 3月19日に行われたモディ首相の会見で発表されたとおり、同月22日(日)日中の外出禁止が実施されました。そして、同日のうちに、デリー、ハリアナ、カルナタカ等各州が続々と、同月31日までのlock downについて公表しています。これにより、水や食料品加工等、必要不可欠な一部の例外を除き、会社や工場その他の施設の閉鎖が指示されています(州によってlock downの内容の細部は異なります)。これまでのAdvisoryとは異なり、違反者に罰則(インド刑法188条)を課す旨が明記される等、法的拘束力を有する内容となっておりますので、注意が必要です。例えば、デリー州、ラジャスタン州、マハラシュトラ州については全域について31日まで、ウッタル・プラデーシュ州については25日までlock downとされています。ハリアナ州、カルナタカ州については、当初一部の地域に限られていましたが、その後対象が全域に広げられています。期間や地域、規制内容について、随時更新も予想されますので、ご注意ください。

 なお、これに伴い、国内の交通機関が制限されるとともに、州境の道路が閉鎖される等の措置が取られている箇所もあります。特にデリーは、必要な商品等の流入以外、31日まで州境を閉鎖する旨通知しており、ハリアナ州、ウッタル・プラデーシュ州、ラジャスタン州等、近隣の方々の仕事や生活に影響があるものと思われます。

 さらに、インド政府は、3月25日以降,国内線航空便が停止される旨発表しています。

2. インド出入国・ビザの関係

(1) 3月19日,インド政府は,国際民間旅客航空便のインドへの着陸を3月22日から一週間停止すると発表しました。これを受けて、ANAが22日に、JALが22日,24日,25日,27日,28日に,デリー発成田行きのフライトを臨時運航する旨が発表されています。少なくとも29日までの間は、日本からインドに来ることはできなくなっています。

(2) なお、既報のとおり、就労ビザ等を所持する日本人の方は、上述の着陸禁止措置が発表される以前は、従前のビザによりインドへの入国を認められていました。この点に関し、インド政府による要請の他、各州が自宅隔離措置を要請する旨発表しています。例えば、デリー準州においては、感染国からのインド入国者について14日間、ハリアナ州においては28日間の自宅隔離措置が発表されています。今後、国際航空便が通常運行に戻り、国外からインドへ来ることが可能となった場合でも、このような州毎の行動制限の有無について確認しておく必要があります。

3. インド国内における新型コロナウィルスの影響(行政庁及び裁判所への影響)

(1) インド国内で確認されている新型コロナウィルスの症例数は、3月23日IST20:15の時点で、468例(うち死亡例9例)と増加しています(https://www.mohfw.gov.in/)。

(2) インド政府、州政府等の行政庁においても、一定の部門、最小限の人員に限っての対応が続いています。

裁判所に関しては、緊急案件を除いて、裁判期日を延期することで対応されていましたが、23日からは、最高裁判所において、緊急案件についてビデオ会議による期日開催が導入されています。各高等裁判所においては、対応はそれぞれ異なっており、例えば、23日現在、デリー高等裁判所、チャンディーガル高等裁判所においては3月中の全ての期日が4月以降に延期されています。

4. 取締役会決議についてのビデオ会議利用について

(1) 2013年会社法(以下「会社法」といいます)第173条2項は、取締役がテレビ会議やその他の視聴覚手段(video conferencing or other audio-visual means)を用いて取締役会に参加することを認めていますが、同条2項但書及び規則第4条は、以下の事項については、テレビ会議やその他の視聴覚手段を用いて処理したり、承認したりすることはできないと規定しています。

(i) 年次財務諸表

(ii) 取締役会報告書

(iii) 目論見書

(iv) 監査委員会による財務諸表承認

(v) 合併、会社分割等

(2) しかし、今回の状況を踏まえて、インド企業省(Ministry of Corporate Administrative)は、2020年3月19日、通知により、同年6月30日までの間、上記(i)~(v)の規則第4条記載事項についても、ビデオ会議やその他の視聴覚手段を利用して開催する取締役会にて決議承認することを認めました。近々に取締役会を予定されていた企業の皆様におかれては、ビデオ会議による取締役会の開催及び決議の実施を検討されてもよいかもしれません。