(文責:佐藤賢紀・渡邊満久/AsiaWise法律事務所所属、インド駐在中)
昨日、インドにおける新型コロナウィルス(COVID-19)への対応に関して、大きな動きがございましたので、3月25日(火)時点の情報をお届けします。
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1. インド政府によるインド全域の都市封鎖(Lock down)について
1.1 昨日3月24日20時より、急遽モディ首相の演説が行われ、25日0時より21日間、インド全土においてLock down を行う旨発表されました。これは、インドに滞在する全ての人々に対し,自宅又は滞在先に留まるよう要請するものです。
これを受けて、国家災害管理局(The National Disaster Management Authority。以下、「NDMA」といいます。)は、州政府等に、インドでのCOVID-19の蔓延を防止するための効果的な対策を講じるよう命令(Order)を出しました。そして、同時にNDMAはこの命令に関するガイドラインを発表し、その中で、Lock down 違反に対して罰則の適用がありうる旨を明示して、当該命令が法的拘束力を持つことを明らかにし、命令を厳守することを求めています。
具体的には、2005年災害管理法(Disaster Management Act 2005)51条~60条を明示し、命令に従わない場合や誤った情報を流す場合等に、懲役や罰金刑を含む刑事罰を課されうることを明らかにしています。
インド現地では、地元警察官による取締りが強化されており、警察官が、外出している者に対して帰宅するよう警告を行っているケースの他、走行中の車両を止め、ドライバーに対し、警棒で暴行を加えたというケースもあると報道されています。
1.2 昨日(3月24日)までは、州ごとに差もありましたが、今回のインド政府の命令により、インド全土について4月14日までの21日間Lock downとなります。例外的に、インド政府や州政府の一部の機能や、食料品の製造業者や宅配業者、病院等の医療施設等の継続が認められていますが、それ以外の会社や工場その他の施設は一時的に閉鎖することが求められています。
最高裁判所においても、緊急案件についてのビデオ会議が導入されたところでしたが、25日以降の期日は全て延期される旨発表されています。
1.3 また、国内の各種公共交通機関に加え、25日からは、インド国内線フライトも全て制限されています。州をまたぐ道路においては、州境に検問等の措置が取られている箇所もあります。州内の移動についても取締りは厳しく、例えば、デリー警察は,デリー市内の移動に際して通行証(curfew pass)の携行が必要となる旨発表する等しています。
2. 日本人の帰国に関して
日本航空は、25日,27日,28日に臨時運行するデリー発成田行きのフライトの他、3月29日から4月2日までは、羽田―デリー便を運航するものの、同月3日以降は30日まで、航空便を運休すると発表しています。ANAについても、3月29日以降は、週3便にて羽田-デリー便を運航予定ですが、今後、変更される可能性もあります。そのため、今後、日本への帰国が困難になる可能性があることから、駐在員を一時帰国させる日系企業も増えています。
前述のとおり、公共交通機関もUberやOlaなどを含めたタクシーも運休となり、取締りも厳格になされているため、空港までの交通手段に頭を悩ませている企業もあるとのことですが、大使館及び日本航空は、
・州境通過時等に確認を求められる場合に備えて、パスポート,Eチケット控えの準備
・日本航空の臨時運航便の乗客の州境通過を許可することを要請する大使館発のレターの印刷
(https://www.in.emb-japan.go.jp/PDF/20200323_Coronavirus_Permis.pdf)
を準備して対処するよう要請しています。その他空港への移動に困難を伴う場合の連絡先として、india.sales@jal.comを公表しています。
3. インド国内における新型コロナウィルスの症例数
インド国内で確認されている新型コロナウィルスの症例数は、3月25日IST10:00の時点で、562例と増加しています(https://www.mohfw.gov.in/)。