(文責:渡邊満久)
先月、一橋大学のビジネスロースクールにおいて、AsiaWise代表の久保及びアソシエイトの渡邊が、「アジアビジネス法Ⅱ」の講義のうち4時間の枠で、双方向型の講義を行いました。久保は「不正対策のポイント」と「現実味のあるアジアコンプライアンス」の2テーマを、渡邊は「アジアデータビジネス法対策」の1テーマについて担当しました。
「不正対策のポイント」においては、久保から、アジア新興国における不正発生の土壌やアジアの現地従業員による不正の例などが、具体的な事案をベースに説明されました。その上で、実際に不正が発生した場合の対応を、初動対応から外部公表に至るまで、時系列に沿った解説がありました。不正対応において久保が特に力点を置いているのは、内部通報制度の充実です。そのための制度整備や通報後の運用に絡めて、不正対応のあり方について、受講生の方(ビジネスロースクールですので、企業の法務担当の方も多くいらっしゃいます)との間で議論が交わされました。
続いて話者が渡邊(私)に替わり、「アジアデータビジネス法対策」について講義を行いました。私は、セミナー登壇の経験はそれなりにありましたが、双方向型での講義の経験はあまりなく、少し緊張しておりました。こちらからは、アジア又は世界展開する日系企業におけるデータ利活用に際しての課題として、①データ保護法コンプライアンス、②新規データビジネス創造における法的リテラシー、③データの権利化と、3つの側面から講義を行いました。アジアビジネス法の講義であるため、①についてアジア各国の法制に触れつつ重めに時間を割こうと考えていましたが、②について、受講生の方からの質問や議論が白熱し、思いがけず先端的な議論についても紹介したりと、想定を超えた展開となりました。
最後に、再び話者を久保にバトンタッチし、「現実味のあるアジアコンプライアンス」について講義が行われました。このテーマについては、既にこちらでも皆様にご報告しているところです。今回もこのテーマについての受講者の方からの食い付きは良く、改めて、このテーマに関する関心の高さがうかがえました。余談ですが、今回、受講生向けの課題の1つをこのテーマから出題しており、企業の第一線の法務担当の方々からどのような課題回答を頂けるか、非常に興味深いところでもあります。
今回の講義は以上の次第で終了となりました。私個人としては、やや先鋭化している嫌いのあるデータ法をテーマにした講義に、受講生の皆様から興味を持って頂いた点、たくさんの質問を頂きそれに対して回答・議論をさせて頂く中で気付きがいくつかあった点が、収穫となりました。この場を借りて、参加して下さった方に御礼申し上げます。
AsiaWise法律事務所では、このような社会人向けの大学院での講義に限らず、企業の法務部、経営企画部、コンプライアンス部等や業界団体、企業の私的な勉強会など、様々な方々に対するセミナーを行っております。セミナーのご希望やご要望がございます場合は、ご遠慮なく弊事務所までご連絡下さい。