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日本弁理士会関西会講演登壇のご報告

2019年12月18日

(文責:田中陽介)

 先日、日本弁理士会関西会において、AsiaWise IPチームChairでインド在住の奥啓徳が、「インドにおける戦略的知財活用」というタイトルで、講演を行いました。これは日本弁理士会の近畿2府4県をエリアとする地域会組織に所属する弁理士を対象としたもので、日本弁理士会の継続研修として認定される見込みです。インドへの知財投資の重要性、インドにおける知財権利化の最新動向、インドにおける知財分野の権利行使という3部構成で計2時間の講演となりました。

 第1部の「インドへの知財投資の重要性」では、インドという国の概要を改めて説明するとともに、インドがどれほどテクノロジーと親和性が高く、知財投資が重要かについて解説しました。例として、未上場で評価額10億ドル以上のユニコーン企業の数が世界で3番目に多いことや、インド工科大学(IIT)をはじめとする技術分野の教育が充実していることを挙げました。

 第2部の「インドにおける知財権利化の最新動向」では、インドで知財実務をするなかでよく問い合わせを受ける内容から、いくつかトピックを選んで解説しました。具体的には、近年のインド特許庁の特許及び商標案件の審査早期化の取り組みと実情を、統計情報と実例に基づいて説明しました。また、インド特許出願では日本の代理人には馴染みの薄いインド特有の制度(外国出願許可、関連外国出願情報提供、国内実施報告)が多くありますので、それらを一つ一つ丁寧に解説しました。

 第3部の「インドにおける知財分野の権利行使」では、インドで特許侵害訴訟が提訴される理由を述べるとともに、先進国並みに高額損害賠償金の判例が出ている標準規格特許(SEP)侵害訴訟の具体例を紹介しました。それから模倣品対策として、電子商取引上の対策や税関差止、警察と協力した強制捜査による対策に関する最新事例を紹介しました。

 インドという最前線の現場でクライアントのニーズを汲み取りながら知財実務を行う視点ならではの、現地情報を提供できたのではないかと考えています。インドについて、ASEAN諸国のような新興国の一つとしてとらえるのではなく、巨大な市場と知財権利行使の仕組みを備えた今後注目すべき国として考えるきっかけとなれば幸いです。