文:佐藤賢紀
2019年4月11日(木)、下記セミナーにおいて、代表の久保光太郎が講師として登壇致しました。
・「Success through Synergy: Japan-India Corridor」セミナー
・主催:スタンダードチャータード銀行
・テーマ:会社法上の取締役の責任のポイント
インドに進出している日本企業の多くでは、本社側の日本人がインド現地法人の取締役を務めています。そうした場合、取締役就任にあたって、また取締役としての職務を果たすにあたっては、その責任をよく理解しておく必要があるというのが、本テーマ選択の動機となっております。
まず責任の内容からみると、インドにおける取締役と会社との関係は、日本と同様に委託信任関係であるため、取締役は善管注意義務を負っています。ただし、インドには代表取締役や監査役という制度がないため、権限や責任における細かな点は、日本法下とは若干異なってきます。
特に注意が必要なのが、KMP(Key Managerial Personnel)と独立取締役や非常勤取締役、いずれに位置づけられる取締役なのかという点です。この種別により、どういった場合に責任を負うのかが大きく異なります。
また、インドにおいては、2013年会社法以外の種々の法律が取締役個人の責任について規定しているため、民事責任のみならず刑事責任についても意識する必要があります。
万が一問題が生じた場合の取締役の行動については、初動対応の重要性、弁護士秘匿特権(依頼者と弁護士との間のコミュニケーションを秘密にしておくことができる権利)の利用、捜査当局が動いていないかFIR(First Information Report)を確認すること等を、意識すべき点として挙げさせて頂きました。
現地法人責任者の方々の所掌事務の範囲は広く、取締役を務める場合の心理的な負担も大きいかと存じます。ご懸念の点がございましたら、お早めにご連絡下さい。
セミナーには、インド現地法人取締役の方々をはじめ、多数の日本企業からご参加頂きました。セミナー終了後の立食パーティーでは、現地の日本企業の方々と情報交換すると共に、インドでの現地法人運営上の不安・悩みについてもお聞きすることができました。
AsiaWiseでは、今後も積極的に情報発信を行っていくと共に、インド現地法人の方々が抱えるリーガル面での不安を解消することで、本業に集中できる環境を整えていくことが使命であると考えております。個別具体的なケースについてのご相談、また、セミナー等の講師のご依頼につきましても、お気軽にお問い合わせ下さい。