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【ニュース】「デジタル時代における法律問題」レクチャーのご報告

2019年6月27日

去る5月30日、早稲田大学のビジネススクールの「デジタル時代のビジネスモデル革新」(辻村清行客員教授)のクラスにおいて、AsiaWise法律事務所代表の久保光太郎弁護士が、「デジタル時代における法律問題」と題してレクチャーを行いました。

レクチャーの前半は、巨大テクノロジー企業やスタートアップ企業のイノベーティブなサービスが新たな「光」をもたらす一方、個人情報の漏洩や、顔認証システムによって得られた画像データが犯罪捜査に用いられる可能性など、いわばAI・データ社会の「ダークサイド」が生じていることに焦点を当て、活発な議論がなされました。

レクチャーの後半においては、そのようなデジタル時代の新たな法律問題に対して、法律はどのようにアプローチすべきなのか、新たなルールメイキングの在り方を議論しました。2018年5月には、EUにおいて一般データ保護規則(通称GDPR)が施行されました。ところが、デジタル時代の法律問題を解決することは容易ではありません。GDPRにも限界があります。GDPRをはじめとする各国の個人情報保護法は、本人から同意を取ること(「インフォームド・コンセント」)を原則として、本人の権利・利益を保護しようとしています。果たしてそれは現実的なのでしょうか。

現代においては、テクノロジー企業は容易に国境を越え、グローバルにサービスを展開します。GDPRのようなルールも、こうした状況に対応して、グローバル化していっています。ところが、民主主義の下では、法律は、国民によって選ばれた代表者が定めることになっています。そのため法律は制定までに時間がかかりますし、テクノロジーの発展に応じてきめ細やかなルールを策定するというのは、難しいといえます。では、国家以外の主体である市民・ユーザや巨大テクノロジー企業は、新たなルール・メーカーとして信頼に足りうるでしょうか。そうした議論は、まだ始まったばかりです。

このような未知の法律問題に対して、従来の一国に閉じた法制度や法学教育は、十分な解を与えることが可能なのでしょうか。国境を超え、プラクティスとアカデミーのボーダーを超え、叡智を結集することで考え続ける姿勢が必要です。

AsiaWise Groupでは、クロスボーダー領域のプロフェッショナル集団として、デジタル時代の法律問題のあり方について研究を深め、積極的に提言をして参ります。