文:久保光太郎
今月(2019年1月)、早稲田大学ビジネススクールにおいて、Legal Issues in Digital Era(デジタル時代の法律問題)とのタイトルで講義を致しました。アメリカ人、中国人、インド人等、世界各国から集まった留学生と活発な議論ができ、大変刺激的な時間でした。
2018年は、AI・ビッグデータ業界にとってターニングポイントの年になりました。これまでデジタルエコノミーの覇者としてもてはやされてきたFacebook、Googleにおいて、大規模な個人情報の漏えい、不正利用の事案が相次いで発覚しました。また、プライバシー関連では、Amazonやイスラエルのベンチャー企業が世に送り出した顔認証技術が当局に防犯目的で利用されていることについても、懸念の声が上がりました。ビッグデータの活用が進むに連れて、AIは決して差別やバイアスと無縁ではないことについても認識が広がりました。
そのような中、2018年5月、個人データの保護を大幅に強化するGDPRが施行されました。EUの規制当局が米国発のIT Giantに対して歯止めを掛ける構図です。テクノロジー分野では規制のグローバライゼーションというべき現象が生じています。もっとも、テクノロジー分野の法規制はどうしても後追いにならざるを得ません。GDPRについて見ても、ビッグデータ時代の個人情報の保護範囲の問題やブロックチェーンの取扱いを始め、多くの問題が山積しています。
以上のような事実認識をもとに、デジタル時代における法律のあり方について学生たちと議論致しました。日進月歩のテクノロジーにあわせたルールメイキングはいかにして可能となるでしょうか。企業自身が主体的にソフトローを含め、ルールメイキングに関わっていくことも重要でしょう。また、ユーザ(消費者)が声を上げていくことでルールが作られることもあるかもしれません。
世界は今まさにテクノロジーによって大きく変わり続けています。クロスボーダーのリーガル問題もダイナミックに変化しつつあります。その中でAsiaWise Groupはアジアのリーガル・インダストリーのパイオニアでありたいと願っています。私自身、今年は昨年以上に積極的にテクノロジー分野の問題について発信してまいりますので、よろしくお願い致します。