【クロスボーダーセミナー実施報告】
文:足羽麦子
「“ボーダーを超えろ” クロスボーダー・ロイヤー リーガルマーケット最前線」
5月25日、AsiaWise法律事務所代表の久保光太郎弁護士企画による株式会社ジュリスティックス主催の次世代の若手ロイヤーに向けたオープンセミナーが実施されました。
同セミナーでは、①株式会社経営共創基盤CEOの冨山和彦氏、あさひ法律事務所の創立者である江尻隆弁護士、デロイトトーマツコンサルティングパートナー羽生田慶介氏による基調講演、②江尻弁護士、羽生田氏及び久保弁護士がパネリストとなったパネルディスカッションが行われ、多くの法科大学院生や卒業生、若手弁護士が参加しました。
まず、最初の基調講演として、冨山氏から、日本企業においては、法的知識と経営判断を掛け合わせたビジネスジャッジが出来る人が強く求められていること、既存の知識等から正解を導き出すのではなく、国際競争のルールをどうデザインしていくのかという「法創造」が大切になる時代である、とのご指摘を頂きました。
次に、江尻弁護士から、戦後から現代までの日本におけるクロスボーダーロイヤーの変化について、江尻先生ご自身のご経験を踏まえてご講演頂きました。いつの時代においても、時代の変化を拒絶せず、変化に応じた発展を目指す必要性があること、今まさに次の変化が生じる時代にあることを学びました。
基調講演の最後は、羽生田氏から、事業戦略としてのルール形成戦略の重要性についてご講演頂きました。現状、ルール形成戦略では遅れを取っている日本企業が、国際競争の中でプレゼンスを発揮していくためには、「標準(Standards)」と「規制(Regulations)」を組み合わせたルール形成戦略を実施する必要があり、この分野にも弁護士にとってのチャレンジがあるとのご指摘を頂きました。
セミナー後半のパネルディスカッションでは、センチュリー法律事務所杉田昌平弁護士がモデレーターを務められ、3名のパネリストから、今後のクロスボーダーロイヤーに対するメッセージも含めてお話頂き、相手の文化に対する理解、語学力を含めたコミュニケーション能力や弁護士としてのプライドを持つことが大切であること等を伺いました。
大きな変化がスピード感を持って生じる現代、AIによる弁護士業務の代替といった報道等もよく目にするところですが、セミナーでの講演等を振り返り、時代の変化にただ流されるのではなく、これに対応した変化を自らもたらし、日本人弁護士が正に必要とされている分野に飛び込んでいく存在になりたいと改めて感じました。若手ロイヤーの皆様、クロスボーダーロイヤーとして、一緒にアジアに、新しい世界に、飛び出しましょう!