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【ニュース】ハイデラバード・バンガロール視察のご報告

2019年4月3日

(文:佐藤賢紀)

3月4日~8日の5日間、今月(2019年4月)よりデリー(グルガオン)駐在の佐藤が、代表の久保と共に、JETRO主催のイノベーションミッションに参加してまいりました。本イノベーションミッションは、インド南部ハイデラバードとバンガロールを視察するという、日本の上場企業やベンチャー企業等計24社から総勢40名が参加のツアーでした。インドのIT企業やスタートアップ企業への投資・買収のご相談も急増しているため、近年急激な成長を遂げているハイデラバードと、シリコンバレーに次ぐスタートアップハブと目されているバンガロールの現状を確認してまいりました。

まずハイデラバードでは、インド工科大学(IIT)ハイデラバード校と、インド情報技術大学(IIIT)内に設置されたスタートアップ企業のコワーキングスペースであるT-HUB等を視察し、現地スタートアップ企業のピッチイベントにも参加しました。インドでは元々、英語が広く使用されている点や人件費の安さ、アメリカとの時差がほぼ半日であり、連携によって終日開発が行えること等を背景に、IT産業が栄えてきました。なかでもハイデラバード周辺には、Microsoft、IBMといったアメリカの大手IT企業の拠点が置かれ、Google、 Amazon、 Apple等も加わることで、イノベーションが生まれる素地が出来上がっています。

後述するバンガロールがスタートアップハブとして既に世界的な認知を得ているのに対し、ハイデラバードは、まさに今、政府や大学が主導してスタートアップを生み出し、それを求めて投資家が集まるというエコシステムを構築している最中です。真新しい幹線道路沿いには建設中の高層ビルや住居が散見され、都市としても今まさに成長過程の只中にあることを体感しました。

視察したIITハイデラバード校は、2008年新設と、24校あるIITのなかでも比較的新しい1校です。インド国内の工学系大学ランキングでは9位に入るなど、現地のエコシステムのなかでも代表的な存在でした。学内では多数のスタートアップが生まれており、今回のピッチイベントでお披露目されたサービスにも、インドが抱える社会課題の解決に挑むようなものが多くあり、学生のレベルの高さがうかがえました。

参加した日本企業の中には、現地の学生の採用を考えている会社もありました。既にバンガロールのエンジニアの給与水準は、一部では日本を超えるとも言われています。昨年の日本のメルカリ社(新卒エンジニア50人のうち32人がインド国籍)のように採用を行っていくには、どこをターゲットにするか戦略を立て、積極的に現場へと入り込んでいくことが重要と感じました。

次にバンガロールでは、Wipro(インド)、楽天(日本)、Cisco(アメリカ)といった大企業のR&Dの拠点を訪れ、各社が競い合って現地スタートアップとのオープンイノベーションに取り組んでいる様子を視察しました。

また、ミッションの最終日に行われたイノベーションイベントには、数多くのスタートアップ企業が、投資や協業を求めて集まっていました。イベントの合間に設けられたネットワーキングの時間には、会場は熱気に包まれており、実際に充実した商談になったと口にする日本企業側の参加者もいました。

インドは、国内のユニコーン企業(時価総額が10億ドル以上で株式未上場の巨大ベンチャー企業)の数が18社に到達する(2018年)など、世界有数のイノベーション拠点となっています。最近では、そのうちの一社であるOYOの日本進出も話題となっており、日本企業も、インド企業の動向を注視することが必要となっています。

AsiaWiseでは、本年、バンガロールオフィスを開設し、現地の最新情報をキャッチアップしてまいります。ご興味をお持ちの日本企業の方々には、今回のミッションでご縁をいただいた現地及び参加者の方々にお繋ぎしてまいりたいと考えております。