(文責:松村正悟)
去る2019年10月15日、AsiaWise代表の久保光太郎が、Rebright Partners様主催の「リブライト・サミット 2019」において、パネリストとして登壇いたしました。
「日本企業によるインド市場への取り組み」と題されたパネルディスカッションで、久保は主にリーガルの観点から、日本企業のインド進出、およびインド企業の日本進出についてお話しさせていただきました。
昨今、インドの経済成長は著しく、バンガロールは「インドのシリコンバレー」として注目を集めるなど、インドのスタートアップにも日本企業の熱い視線が注がれ始めています。もっとも、日本企業によるスタートアップ投資は始まったばかりであり、多くの企業が途を模索している真っ只中という状況にあるように思われます。
インドビジネスに取り組むにあたり注意すべき点として久保が指摘したのは、「インドをアジアと思うことなかれ」ということです。インドはアジアなのか、それとも中東なのか、あるいは欧米と同様に考えてよいのか、いやインドはインドでありそれ以上でもそれ以下でもないのか……などと考え始めると禅問答のようになってきてしまいますが、ここで重要なポイントは、「インドを東南アジアと一括りにしない」というところにあります。ともすればインドは、インドネシア、シンガポール、ベトナム、タイ等の東南アジアと十把一絡げに扱われがちですが、そのような意識でインドビジネスに臨むと、失敗を招くリスクがあるということです。たとえばコストカット狙いでインド現地の従業員やアドバイザー等に支払うコストを惜しむと、「安かろう悪かろう」の原理でクオリティコントロールに失敗し、結果としてかえって多大なコストを費やす羽目になることも、往々にしてあります。重要なのは、コストを惜しまず、玉石混交(玉石石石混交かもしれませんが)の中から信頼に値するパートナーや人材を見つけることです。
また、インドビジネスに取り組む日本企業が留意すべき点としてもう一つ、「タッグを組んでいるパートナーも日々変わっていく」ということを忘れないという点が挙げられます。
インドビジネスの難しさの一因として、「変化が速い」という点がよく言及されますが、ここでいう「変化の速さ」という言葉の中には、インドのビジネス環境の変化のみならず、インド企業そのものも日々恐るべきスピードで変容していくということも包含されているのです。つい数か月前まで従業員100人規模だった企業が、いつの間にか1000人を超える従業員を擁するに至っている……これは大袈裟な仮想事例ではなく、私どもの依頼者様の一例です。そのようなスピーディーな変化があることを念頭に置いたうえで、腰を据えてパートナーシップを組んでいく必要があると言えるでしょう。
日本へ進出してくるインド企業についても注目の集まるところですが、彼らのビジネスが成功する要因としては、フレキシブルな姿勢をもってビジネスを構築しているところにあるといえます。
特にインドのスタートアップのビジネスは、レギュレーションが緩い、または未発達であるというインド特有の環境下において成功を収めていることが多いものです。そのため、インドで成功したビジネスをそのまま日本に持ってきても、日本の厳格なレギュレーションの壁に直面してしまいます。そのため、日本のレギュレーションやマーケットの性質を踏まえてビジネスを再構築するフレキシブルな姿勢を持つことで、日本での成功を実現しうると言えます。これはインド企業だけで実現できることではなく、日本をよく知る日本企業がいわば「水先案内人」となり、うまくサポートしてあげることが肝要です。
AsiaWiseは、「日本からインドへ」のアウトバウンド案件、「インドから日本へ」のインバウンド案件の双方について、インド現地弁護士とOne Teamでコミットすることにより、クライアントの皆様に質の高いリーガルサービスをご提供しております。
今後のインド進出を検討されている皆様におかれましては、ぜひお気軽に、AsiaWiseまでご相談ください。